南京大虐殺はなかった。慰安婦は売春婦にすぎなかった。沖縄戦で日本軍は住民を殺したわけではない。
以上はすべて事実に反する主張だ。歴史的史実とは真逆といっていい。
日本が世界の中で特別に素晴らしい国と思いたい人たちにとっては、過去の日本軍の蛮行を認めたくないという心理が働くのは、考えてみれば別に不思議なことではない。
人間は自分が好感情をもつ「対象」の負の情報については、目をつぶる傾向にあるからだ。
これはわれわれの日常生活を考えれば、容易に想像できることだろう。
ただし人間生活に多大な影響をおよぼす「政治」の世界や、一般大衆の意識を変える働きをする「ジャーナリズム」の世界では、そうはいかない。
「事実的根拠」がすべての大元であり、そこを立脚点にしない言説は絵に描いた餅にすぎない。
先の特別国会で問題となった皇室典範における男系男子連綿継続説も、実は、事実的根拠が存在しない。
いわば「神話の世界」を国会に持ち込み、国会議員の多数がそれに同調したという構図だった。
中道改革連合や公明党も、例外ではない。その証拠に、男系男子説の「神話性」の矛盾を根本から追及した議員がひとりでもいただろうか。
要するに国会自体が事なかれ主義に終始し、一定の方向に流されつづけている。
極めて危険な状態であり、「いつか来た道」を確実に辿っている、としか言いようがない。

