戦後の一時期、「マスコミ界の帝王」の異名をとった大宅壮一に関する最新刊『大宅壮一 昭和史の証言』(藤原書店)を手にとり、冒頭の言葉にあたった。

もともと大宅壮一の人生自体、ダブルヘッダーそのものだった。

1900年生まれだった大宅は終戦の年、45歳。働き盛りの年齢だったが、戦中に筆を折っていた。平たくいえば軍部迎合の時局に限界を感じていたからだ。

戦後もすぐには復帰しなかった。その「時期」をうかがい、じっと待った。

そして戦後の一時期を席巻するジャーナリストとして活躍する。文章だけでなく、語りも上手な評論家として一時代を築く。

その大宅は冒頭の言葉を残したが、考えてみれば、安倍晋三の政治家人生も、まさにダブルヘッダーそのものだった。

私も60をすぎて、いまは第二の人生を送っている。何が違うか外面からは区別がつかないかもしれないが、本人の内面においては明確に切り替わった感がある。

ひと言でいえば、自身の「使命」を自覚して生きている状態とでもいおうか。

大宅の表題の言葉は青年時代などに失敗し、苦境にあえぐ人には最良の励ましの言葉として使える。私も実人生の中において何度か拝借したことがある。

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