沖縄を発祥の地とする空手は、もともとは「隠れて修業する武術」の時代があった。

その時代は長かったように思われるが、文献的な裏付けはない。

それでも沖縄が薩摩藩の事実上の支配的影響を受けた17世紀から、20世紀初頭にかけての期間はその色合いが強かったと思われる。

要するに現在一般的なイメージとなっている集団で稽古する空手稽古の風景とは、“異質”のものだった。

さらに競技化(試合化)する過程で多くのものがそぎ落とされ、簡略化される方程式は、柔道や剣道ともその経緯は変わらない。

そのためもともとの目的であった自分の身を守る(護身術)ための方向性とズレる結果につながるのも、必然的な流れだった。

現在、世界に広がる空手だが、多くの愛好者の目的はそれぞれで異なる。

女性の場合は美容のため、高齢者なら健康のため、若い人なら試合で勝つためなどさまざまだ。

それでも最終的な目的は、「原点」に戻らざるをえない。

要するにいざというときに自分の身を護れるかどうかがその基準となる。

その目的から離れれば離れるほど、もともとの姿とはかけ離れたものとなってしまうからだ。

日本本土でも、本場沖縄でも、あるいは世界に広がったそれぞれの地域においても、この図式は変わらない。

特に団体として組織化された段階で、冒頭の「隠れて修業した武術」とはかけ離れることが必然となる。

どちらがいいかは一概に断定できないが、そうした図式を理解して臨めば、稽古の意味合いも変わってくる。

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