私の父方祖父は30代で赤紙が来て陸軍に召集。フィリピン沖で艦船撃沈され、数時間も海の中で足かきしながらもがき続けた経験があった。

九死に一生を得て日本に帰国し、2人の叔父(父親の弟たち)も生まれたが、祖父の実の兄(私の大伯父にあたる)は同じフィリピン戦線で、終戦のわずか1カ月前に戦死した。

話は変わるが、祖父がたまに祖母に暴力を振るったような話は耳にしたことがある。それは私の父親も同様で、男尊女卑気質が強い九州では、ごくあふれた話とこれまであまり気にも留めないできた。

近年、「戦争トラウマ」という言葉をしばしば聞くようになり、本日付紙面でも日経社会面で「戦争トラウマの連鎖」というフレーズが目についた。

戦没者数といった数値化できる明瞭な概念と異なり、従軍体験がそれぞれの帰還兵の内面にどのような影響を及ぼしたかは、定量化が難しい。

それでも生きるか死ぬかの極限の精神状態が人間にどのような影響を与えるかは容易に想像がつく。

戦争はやってはいけない、とは簡単な主張に思えるが、その影響は数世代にわたって内面化し、連鎖する。

ガザで7~8万人が虐殺されたと定量化して説明することは容易だが、数字に表れない内面化された影響は計り知れない。

ウクライナやイランの現場でも同様のことがいえる。現在の人間社会の限界の姿だ。

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